親世代

12:迎えにきました待っていました

 はきゅっとバツ印をつけた。静かにその印を見つめて、マッキーを下ろす。いくつもいくつもつけてきたそのバツ印をつけるのは今日で最後である。カレンダーをから視線を外しては手に持っていたマッキーをペン立てに挿した。家の隅々までを見まわし、当分は見…

11:君に笑顔を

1 綱吉は息を切らしながら走って京子の姿を探す。獄寺たちに電話をしたので、彼らも探すのを手伝ってくれてはいる。だがなかなか見つからない。「…キョーコちゃん…っ」 一体どこに、という疑問ばかりが不安となって頭を過ぎる。黒曜の時のようなことにな…

10:譲れないこと

1「行くのか、ツナ?」 単調だけれど高めの己の家庭教師の声に綱吉はこくりと頷いた。 ずっとベッドに腰かけて考えにふけっていたが、やはり納得がいかなかった。こんなことはおかしい、間違っていると今までの自分が叫んでいる。今までいろんな事件に遭遇…

09 :Sei unica. Sei unico.

1「ただいまー」 返事ないかもしれないことに落胆しつつも修矢は玄関を押し開けた。だが、予想に反して返事はあった。「お帰り、修矢」「…あ、姉貴」 いつものようにそこに笑顔で立っているに修矢は目を見開いた。はぽすりと呆然としている修矢の頭に手を…

08:理解不能行動不能再起不能?

1 は呆然と赤い瞳に映った己を見る。その二つの瞳に映っていることが信じられず。そしてXANXUSは黒い瞳に映った自分を見つめる。何故この二つの瞳が己を映さなかったのか理解できず。「――――っい、」 信じられないほどの強い力で二の腕を掴まれて…

07:電話の向こう

1 ぱんぱんと破裂音が耳を劈く。次の瞬間叱咤が響き渡った。「もっと速く!そんな遅さでは相手に撃たれます!」「はい!」 ぱん、ともう一発。また響く。「必ず二発連続で!」「はい!」 ぱんぱんと二発。遅いと叱咤。二発、叱咤。二発、叱咤。それが彼是…

06:日常の私とあなた

1 は新聞を取り出して、その時にふとほかにもう一つ何かがポストに入っていることに気付いてそれに触れた。そして、ぱっと表情を明るくして、家の中に駆けこむ。「修矢!」「んぐっ」 ご飯を喉に詰まらせて修矢は咳き込み、置いてあった麦茶で流し込む。そ…

05:まだ

1 着替えを済ませては手当てを受ける。「哲さん。その、怪我をされた方たちは」「負傷した舎弟は皆病院に運びました。安心してください。とは言っても、病院に行く必要のない怪我なのは私と坊ちゃんくらいでしたが」 まだまだ鍛え足りません、と哲はの足の…

04:大空の行方

1 腰に刀を携える。ベルトにかかる重みは人の命を奪うもの。「哲」「はい」 そう答えた側近の後ろには、銃を懐に隠した男たちが頭を垂れている。修矢は向けていた背中を返して彼らと向き合う。 静かな声。「計画が前倒しになったことは謝罪をする。すまな…

03:幻想

1「、お皿いつもよりも一枚少なくていいわよぉ」「どなたか風邪でも引かれたんですか?」 白い皿を食器棚から取り出しながらは不思議そうに首をかしげた。ルッスーリアはそれに今日はマーモンがいないのよと告げる。「任務でね」「ああ、お仕事ですか」 赤…

02:二人の距離

1 ふと喉の渇きを覚えて目を覚ます。柔らかい布団の上、体の上には暖かい毛布が一枚かけられていた。気付けばベッドの端に座っていた重みがない。 のっそりと体を起こして窓の方を見たが、閉められたカーテンからはまだ光は差してきていなかった。時計に目…

01:御曹司と

1 結局流されるままに世話になることになってしまったは荷物を運んでいた部屋にあったベッドに腰かけた。ベッドは恐ろしい位にふかふかとしていて、心地が良い。上半身をそのまま倒せば体を埋めるくらいの柔らかさだ。 どさりと体をその白いシーツに埋めた…