男の話
全身の力を抜く。しかし一本だけ頭頂部から背骨を通るその一本の筋だけは折らないようにまっすぐと力を込めて、姿勢を正す。瞳を閉じて耳を澄ませ、肌で風を感じる。遠くから流れてくる音と近くでそよぐ波に意識を散らしながら、ラジュは静かに、どこまでも…
01 Sucola Media Reborn! 夢小説 子世代
此処は何処
すとんと刃が相手の肉を切り裂き、そこから血が大量に溢れだす。暗闇の中を真赤な色が染め上げる。 足元には無数の動かぬ骸。廃ビル内部は薄気味悪い色で染まり、そこには錆びた鉄の臭気が充満していた。月の光も届かぬその中で、一人の男、男と判断するの…
Reborn! 夢小説 短篇 親世代
シャルカーン・チャノ
1 肌に触れる手。それを汚らしいと思う感覚も感情も、既に持ち合わせていない。突き上げられる嫌悪感に吐き気を覚えながら、善がっているふりをする。気持ちよくもない行為を白いシーツの上で繰り返す。 前方ガラスの部屋の奥では、獣が子供を食べていた。…
Reborn! 夢小説 短篇 親世代
東堂雅と幸福
1 女に出会った。何のことはない、仕事先の同僚。けれども彼女はとても優しかった。それが上辺だけの優しさなのか、それとも本当に優しくしてくれていたのか。その時の自分には全く分からなかった。けれども、その優しさは温かくて、心地よくて、一生浸って…
Reborn! 夢小説 短篇 親世代
Wilhelm und Wolfgang
小さな鳥が死んでしまった。 車にはねられて死んでしまった。あっという間に死んでしまった。目の前で死んでしまった。さっきまで空を舞い、歌を歌っていたのに死んでしまった。あっさりと死んでしまった。 死んでしまった。小鳥は、死んでしまった。 も…
Reborn! 短篇 親世代