02監禁生活

心配性の

1 うん、と一つ大きな伸びをして、人のベッドにその体を勢いよく放り投げる。ぼすんと倒れたその体は大の字に広げられている。圧し掛かってやろうかと嫌らがらせ心が多少なりとも芽生えかけたが、久々の再会に水を差すこともあるまいとクロコダイルはベッド…

海賊だからな

1 と、男は言った。 部屋を埋め尽くす程に大きな鳥が一羽、机の前に在るソファに腰かけていた。座るべき場所にはその大きな足が乗り、背を預ける部分に尻を乗せる。この子はまともに椅子に座ることができないのだろうかと疑問に思いつつ、もう一羽の鳥は開…

さよならではなく

 船は穏やかな波に揺られていた。帆を畳み、錨を海中に垂らしているので、ゆるゆるとしか船は前に進まない。波のたゆたい一つをその体に受けながら、船はゆっくりと進む。春島、もしくは秋島が近いのか、気温湿度共に肌に心地良く、気候は安定していた。 は…

手に馴染む

 女は退屈そうに、甲板の上でギプスを鳴らした。左右重みの違う足、その片方には白い物体ががっちりと付いており、重たくて仕様がない。 マルコぉ、とは溜息交じりに房を模した髪を持つ、なで肩の男に声を掛けた。だが、取りつく島もなく、マルコはふるりと…

The blue bird

 帆船であるこの船のマストは、追い風に乗せて大きくその帆を膨らませた。ばつん!と小気味よい音がマストを叩き、青い空に響かせる。本日青天。雲一つな気素晴らしき空がそこには広がっていた。とはいえども、グランドラインの気候は変わりやすく、この天候…

君に遺す

1 空に浮かぶ白い雲の保護色で一羽の猛禽類は広すぎる程に広すぎる空で風を拾いながら、なめらかなラインで翼で一度空気を押し出し前進する。空における捕食者は存在しないため、何ものにも怯えることなく空を飛ぶ姿は一つだけ足の速い雲に見える。 ヤッカ…

Go to the sea

 嫌な感じがする。 ドフラミンゴは軍艦の上でぼんやりと凪いだ海を眺めながら、小さくなって、既にもう点のようにしか見えない島を眺めた。それも水平線の向こうへと消え去ろうとしている。なんだろうか、とドフラミンゴは思う。そして、唐突に側にいた海兵…

甘えたい、それだけ。

 男はベッドに倒れ込んだ。 大きな体がもっすりとベッドシーツを宙へと舞わせながら、沈み込む。沈没。そのままぴくりとも動かなくなった体に手足に枷を嵌められたままだったは怪訝そうに眉根を寄せた。ぐったりと倒れ込んだ体は普段のように不愉快な笑みを…

彼女について

 寂しそうな背中がポツリ。目を見せない深みのあるサングラスに映し出された。ドンキホーテ・ドフラミンゴは海軍帽子を坊主頭に被り、正義の二文字を背中に流している男に、口に笑いを含めつつ、歩み寄った。爪先の反り上がった靴が、男の大きさに反して軽い…

I can’t understand.

 飯だけは大人しく食うんだな、と雛に餌を与えるようにスプーンをの口へと運びながらドフラミンゴはそうぼやいた。スプーンに乗せられた飯を上下の顎で挟み唇で金属をなぞりながら、後方に頭を引くことで口の中に食事を運ぶ。下顎を動かし臼歯で飯を磨り潰し…