夢小説

03:幻想

1「、お皿いつもよりも一枚少なくていいわよぉ」「どなたか風邪でも引かれたんですか?」 白い皿を食器棚から取り出しながらは不思議そうに首をかしげた。ルッスーリアはそれに今日はマーモンがいないのよと告げる。「任務でね」「ああ、お仕事ですか」 赤…

02:二人の距離

1 ふと喉の渇きを覚えて目を覚ます。柔らかい布団の上、体の上には暖かい毛布が一枚かけられていた。気付けばベッドの端に座っていた重みがない。 のっそりと体を起こして窓の方を見たが、閉められたカーテンからはまだ光は差してきていなかった。時計に目…

01:御曹司と

1 結局流されるままに世話になることになってしまったは荷物を運んでいた部屋にあったベッドに腰かけた。ベッドは恐ろしい位にふかふかとしていて、心地が良い。上半身をそのまま倒せば体を埋めるくらいの柔らかさだ。 どさりと体をその白いシーツに埋めた…

00:前方不注意要注意

1 日本でのボンゴレリング争奪戦に負けた後、結局あのジジイには謹慎を言い渡された。たったそれだけかよ、と鼻で笑ってやったら、ジジイは一つ悲しげな顔をして頭を撫でた。その手を思いっきり払いのけた。 そんな胸糞悪ぃ愛情を誰が欲しがったって言うん…

追うもの追われるもの

 凪いだ海面を泳ぐ一隻の甲板の上ではMARINEの帽子を各々被った屈強な男共が所狭しと動き回っていた。天候が変わりやすい新世界においてでも、島の周囲では気候が落ち着いており、穏やかな風が肌をさらった。その風の中に葉巻の煙が飛ばされるようにし…

海賊と海兵

1 目の前の男を眺める。 口に咥えた二本の葉巻からはもうもうと煙が立ち上り、それがスモーカーの視界における視認をある程度妨げていた。 しかしながら、彼にとってはそれは日常茶飯事の出来事であり、今更ながらにして追求すべき事柄ではなく寧ろ、その…

海をあたう

1 酒場で酒を嗜む。 周囲のざわついた空気の中で、はクロコダイルの半分ほどに減ったグラスに酒を注ぎ足した。こぽんと瓶の中に泡が入り、ぼとんとグラスの中を酒が満たす。あふれそうになるくらいに入れようとしたので、見かねたクロコダイルはもういいと…

次こそ

 頬を伝った汗を手の甲で拭う。ゾロは肺胞内部の二酸化炭素全てを吐き出すかのように、大きく深く息を吐いた。そして瓦礫の上に悠然と座って、さも楽しげな笑みを口に乗せている女へと視線を移す。 一体いつからいた等々質問は多くあるが、それ以上に不愉快…

Happy Birthday

 はっぴーばーすでーとぅーゆー。 灯された蝋燭の火を吹き消したことがあったろうか。クロコダイルは咥えた葉巻の煙をくゆらせながら、深く体をソファに埋める。きっちりと隙間なく着込んだシャツの袖、カフスボタンを右手で触れ、その精巧な細工に目を細め…

そんなことはないのだろうけれども

 湯煙の先で、傷痕の上を水滴が走り落ちる。透明な湯の中に浸された体は、僅かながらも凹凸が存在し、体を分断するかのように走っている古傷からは気泡が一つ二つを零れて水面に空気を弾けさせた。 狭い、とは言わないまでも、決して広くはない湯船の中で四…